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ゴールデンウィークの次週、ゼンマイ採りのために新潟に帰郷した。

前日の土曜日は親父と2人で会越国境山群の山へゼンマイ採りに出かけ、期待通りの収穫が出来たが、明日の日曜日も一緒にゼンマイ採りに行くと思いきや、

「俺はもう歳だから、2日もゼンマイ採ると疲れが残るから行かねぇ。」と・・・


そんな弱気な親父を残し、私とよしおじさんの2人で五頭連峰のゼンマイ採りに出かけました。

五頭連峰は小さい連峰だが、山菜が豊富に出る。ゼンマイを筆頭にウド・コシアブラ・ウルイ・タケノコ(ネマガリタケ)など、地元の山菜採りも口をそろえて「いい山だ!」という場所です。




新緑がまぶしい

ゴールデンウィークの時はブナの葉は全然出ていなかったが、5月中旬になると緑が鮮やかになってきた。これくらいブナの葉があればゼンマイも出ているだろう。

ゼンマイは沢沿いの崖に出る山菜。登山道から外れて沢を下りてみると、そこには春を告げる花達が私達を迎えてくれた。




イワウチワとカタクリ

沢に下りると、イワウチワとカタクリの群生に出会う。

イワウチワ・・・ブナ林の中で大きな群落を作ってピンク色に染めることが多く、木々の若葉が展開する前の明るい林内に多く見られます。この植物は主に岩上に生え、葉の形がうちわに似ているところから付けられたらしい。


カタクリ・・・薄紫から桃色の花を咲かせる花。この花はなかなかデリケートな花で、陽のあたるときのみ開く。 曇った寒い日や雨の日は開花しにくいが 曇ってても温度が高めだと開花するらしい。種子が地中に入ってから平均8年目で ようやく2枚の葉を出して開花するが、2ヶ月もすると葉は枯れて、それ以降は地中の球根のみとなってそのまま越冬する。開花するまで8年もかかるので採取をせず、そっとしておこう。




もう少し下りる

イワウチワとカタクリの群生を過ぎると、ゼンマイが出ている岩場に着く。

ゼンマイは北向きの崖が大好きな山菜。とにかく山菜採りの中では一番危険な山菜採りだろう。




ゼンマイの沢

少雪の年なら雪渓も見られない場所だが、今年は大雪だったのでかなりの雪が残っている。

ゼンマイ採りは雪渓があった方がいい。雪渓のおかげで、今まで採れなかった極太ゼンマイが採ることが出来る。




危険なゼンマイ採り

ゼンマイはこんな危険な場所に出るので、山菜を採る人でもゼンマイだけは採らないという人もいる。

田舎の集落でも、年々ゼンマイ採りが少なくなっている。こんな危険な採り方なので足腰は強くなくてはならないし、ゼンマイを多く採ってもそれを背負って山を下りる体力もいる。

今の若い人はゼンマイ採りはしないので、競争率が減った分いつでもゼンマイを採ることができるが、ゼンマイの文化が消えてしまうかもと思うと寂しい限りである。

ゼンマイは採るのも大変だけど、家に帰ってからも大変。綿取りと揉み方が待っているので、ゼンマイは手間が掛かって大変なんですよ。




綿取り

TVでゼンマイの取り方を見たことがあるが、ゼンマイを採る時点で綿と葉を引き抜くようにゼンマイを採っていた。少量ならそれでいいが何十kgもゼンマイを採るときは時間が掛かりすぎて不向きだと思う。

山から下りて、家に着いたらすぐにゼンマイについている綿を取る。綿を取ったら、茹でて乾燥させるが、その過程でも綿は取れることはないので、綿着きゼンマイを食べることになってしまう。綿はしっかり取ろう。




茹で具合

ゼンマイがちょうど茹で上がったか調べるおばあちゃん。

1本のゼンマイを手にし、くるりと輪が出来ればちょうど良い茹で加減だ。

茹でるまではその日のうちにしないといけない。疲れたから次の日に茹でようかななんてことをしたら、ゼンマイが固くなって美味しいゼンマイが出来ないのである。

茹で終ったら、すぐにムシロにゼンマイを広げて荒熱を取る。


ここまでの作業を終えると、ようやくゆっくり出来る。後はゼンマイを乾燥させるだけ。




ゼンマイの乾燥

ゼンマイの乾燥といっても、手で揉みながら乾燥させる。

手で揉むことによって、繊維質がほぐれて美味しいゼンマイが出来る。

乾燥させる期間は大小のゼンマイで差はあるものの、大体3日間掛かる。


乾燥ゼンマイには青干しゼンマイと赤干しゼンマイの2種があり、煮沸・手もみの後松葉などを用いての薫煙乾燥を施したものを青干しゼンマイ、煮沸・手もみ・天日乾燥を繰り返したものを赤干しゼンマイと呼ぶが、どっちが高級品か?


それは、おばあちゃんが丹念に揉みながら乾燥させた赤干しゼンマイが最高級品です。




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